中国の文化Ⅸ(俗文学)
授業のテーマ(この授業で何を学ぶか)
日本文化とは何かを考えるには、古来、日本文化に多大な影響を与えてきた中国文化への理解が不可欠です。この授業では巨視的・微視的という二つの視点から中国文化史を通観することにあります。
巨視的な視点からいえば、中国文化が東アジアの諸民族に及ぼし た影響は計り知れません。表意と表音という二つの機能を備えた漢字の発明は、言語を異にする東アジアの諸民族に漢語という共通言語 (Lingua Franca)を与え、それを基盤とする文明圏の成立と高度な精神的交流を可能にしました。漢代以降、中国の国教となった儒教は、東アジアに倫理観にもとづく国際秩序と社会秩序を与え、サンスク リット語仏典の漢語への翻訳は東アジアに仏教という世界宗教を成立させました。紙や印刷術の発明は東アジアのみならず、世界の文化の発展と普及に革命的な影響を及ぼした。
いっぽう微視的な視点からいえば、中国歴代の文学、とりわけ市井の人々の間で次々と生み出された俗文学は、東アジアに庶民の文学を生み出す契機を与えました。この授業でも取り上げる三国志演義や水滸伝などは、わが国の文学にも多大な影響を与えています。
授業の到達目標
中国の古代から近世に至る文化史を理解し、東アジアという広い視野から自文化を考え、説明できる力を身につけます。
授業の概要と方法
授業は、準備学習と講義、リアクション・ペーパーによる質問・意見を組み合わせて行います。限られた授業時間を有効に使うため、毎回、授業の前に準備学習の資料を読み、講義への理解を深めるとともに、質問や意見がある場合には、リアクション・ペーパーを通じて積極的に発言してください。
課題などへのフィードバックは、授業中またはメールを通じて行います。
授業計画
回 月/日 テーマ 1 4/7 2 14 3 21 4 28 (春秋戦国時代)孔子と儒教 5 5/12 (秦代)亡国の民が伝えた英雄伝説 6 19 7 26 (魏晋南北朝時代・上)北朝と南朝の民間伝承に描かれた女性像 8 6/2 (魏晋南北朝時代・下)東アジアの世界宗教となった仏教 9 9 (隋唐時代)敦煌文書の世界 10 16 (番外編)敦煌文書と狂言 11 23 (五代十国時代)書籍出版のはじまり 12 30 (宋代・上)科挙制度と“負心文学”の誕生 13 7/7 (宋代・下)三国志の誕生 14 14 (まとめ)
成績評価基準
成績評価は次のような基準で行います。
①毎回授業の後に提出するリアクション・ペーパー(80%)
②期末レポート(20%)