第2回 調査報告の方法: リビジョン

最終更新: (更新者 鈴木 靖

調査報告の方法

 

 今回は調査結果を報告する際の必須事項である5W1Hと、参考文献を挙げる際の書誌情報の書き方を学びます。

 

1.調査報告の必須事項

 

 調査報告には5W1Hの情報が必要です。5W1Hとは、

 

  • When(いつ)
  • Where(どこで)
  • Who(誰が)
  • What(何を)
  • Why(なぜ)
  • How(どのように)

 

 ここでは、今年2月24日に開始したロシアによるウクライナ侵攻の中、台湾人の有事に関する世論調査の結果を報じた2つの記事を比較してみましょう。

 

台湾「自衛隊参戦」が43%、期待度で米軍上回る


【台北共同】

 台湾の民間シンクタンク、台湾民意基金会が22日発表した世論調査で、中国が台湾に武力攻撃した際に「自衛隊が参戦して台湾防衛に協力すると思うか」との問いに43.1%が「信じる」と回答し、米軍を「信じる」とした34.5%を超え、期待度で上回った。

 昨年11月に発表した調査で米軍の派兵に対して「見込みあり」が65.0%だったのと比較し、30ポイント超の下落。ロシアのウクライナ侵攻を巡り、米国が派兵をしていないことが影響したとみられる。今回の調査で、米軍の参戦を「信じない」は55.9%で、自衛隊については48.6%。

 また「台湾は自力で中国の侵略を阻止できるか」との問いには78.0%が「不可能」と回答。18歳以上の男性に課している4カ月間の軍事訓練を「少なくとも1年間に延長する」には75.9%が「賛成」と答えた。

 ロシアによるウクライナ侵攻を受け、台湾社会で統一圧力を強める中国への警戒感が高まり、「自衛の決意」を強めていることが浮き彫りになった。

 侵攻には73.2%が「正当性がない」と答え、蔡英文総統による対ロシア経済制裁には64.4%が「賛成」とした。

【出典】NNA*2022年3月23日

* 共同通信のグループ会社。アジア主要13ヵ国地域に18の拠点を持ち、現地の経済ビジネス情報を中心に情報発信をしている。

 

台湾で米軍の信頼急落 有事参戦めぐる世論調査

 

 ロシアによるウクライナ侵攻を目の当たりにした台湾人のうち、「台湾有事には自衛隊が参戦する」と回答した人が43・1%(参戦しないは48・6%)に上ったことが、台湾の民間シンクタンク「台湾民意基金会」の世論調査でわかった。米軍の参戦を信じる人は34・5%(同55・9%)で、日本に対する信頼を下回った。

 日米両政府はともに、台湾有事に介入するかを明らかにしない「あいまい戦略」をとる。昨年10月の同種調査では、自衛隊の参戦を信じる人は58・0%、米軍は65・0%で、自衛隊で14・9ポイント、米軍では30・5ポイント急落した。同基金会が22日、侵攻後の今月14~15日に20歳以上の約1千人に電話調査し、発表した。

 同基金会は数値の変化について、「まれに見る悲観的な心境の急変」と指摘。「各国がウクライナに派兵していない事実が、台湾人に大きな衝撃を与えた結果だ」と分析している。

 調査結果では、中国による台湾侵攻があった場合に台湾が単独で軍事対応しなければならないと心配する人は、59・7%に上った。さらに、台湾のみでは中国による占領を防げないと考える人は78・0%だった。防げると答えた15・8%のうち、中国と距離を置く蔡英文(ツァイインウェン)政権の与党・民進党の支持者の割合は、中国融和路線をとる野党・国民党の支持者の5・4倍だった。

 また、単独でロシアに軍事対応しているウクライナの境遇に同情する人は、87・2%に上った。

 台湾外交部(外務省)の22日の発表によると、台湾ではウクライナ支援のためとして、約7億8800万台湾ドル(約33億円)の寄付が集まった。医薬品などの支援物資も約200トン寄せられているという。(台北=石田耕一郎)

【出典】朝日新聞2022年3月22日

  • When(いつ) ‥‥‥3月14~15日(NNA× 朝日新聞〇)
  • Where(どこで)‥‥台湾(NNA〇 朝日新聞〇)
  • Who(誰が)‥‥‥‥台湾民意基金会(NNA〇 朝日新聞〇)
  • What(何を)  ‥‥‥世論調査(NNA〇 朝日新聞〇)
  • Why(なぜ)‥‥‥‥?(NNA× 朝日新聞×)
  • How(どのように)‥20歳以上の約1千人を対象とする電話調査(NNA× 朝日新聞〇)

 

 ゼミや卒論でNNAのような報告を行ったら、必ずこう質問されるでしょう。「この世論調査はいつ、どのように行ったのですか?」

 

「ロシア・ウクライナ衝突 両岸危機と台湾民主(俄烏衝突、兩岸危機與台灣民主)」(財団法人台湾民意基金会 英語ダイジェスト版 2022年3月22日)
「ロシア・ウクライナ衝突 両岸危機と台湾民主(俄烏衝突、兩岸危機與台灣民主)」(財団法人台湾民意基金会 中国語版 2022年3月22日)

 

 

2.書誌情報の書き方

 

 報告の際には、情報源となった書誌情報が必要です。以下の書式に従って正しく書くようにしましょう。

 また日本語や英語以外の資料には、日本語訳をつけるようにしましょう。

 

①書籍の場合

 

 著者名『書名』(出版社名、発行年)

 

(例)清水克彦『台湾有事: 米中衝突というリスク』(平凡社 2021年)

 

②論文の場合

 

 著者名「タイトル」(掲載誌名 号数、発行年月)

 

(例)本田善彦「“台湾有事”報道の虚と実 : 世界の潮」(世界第954号 2022年3月)

 

③新聞の場合

 

 「見出し」(掲載紙名、発行年月日、朝夕刊)

 

(例)「台湾で米軍の信頼急落 有事参戦めぐる世論調査」(朝日新聞、2022年3月22日朝刊)

 

④Webサイトの場合

 

 「タイトル」(サイト名, URL, 閲覧年月日)

 

(例)「俄烏衝突、兩岸危機與台灣民主 ENGLISH EXCERPT(ロシア・ウクライナ衝突 両岸危機と台湾民主 英語ダイジェスト版)」(財団法人台湾民意基金会 2022年3月22日、https://www.tpof.org/%e7%b2%be%e9%81%b8%e6%96%87%e7%ab%a0/2022%e5%b9%b43%e6%9c%88%e3%80%8c%e4%bf%84%e7%83%8f%e8%a1%9d%e7%aa%81%e3%80%81%e5%85%a9%e5%b2%b8%e5%8d%b1%e6%a9%9f%e8%88%87%e5%8f%b0%e7%81%a3%e6%b0%91%e4%b8%bb%e3%80%8denglish-excerpt/ 2022年4月19日閲覧)

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