第2回 調査報告の方法: リビジョン

最終更新: (更新者 鈴木 靖

調査報告の方法

 

 今回は調査結果を報告する際の必須事項である5W1Hと、参考文献を挙げる際の書誌情報の書き方を学びます。

 

1.調査報告の必須事項

 

 調査報告には5W1Hの情報が必要です。5W1Hとは、

 

  • When(いつ)
  • Where(どこで)
  • Who(誰が)
  • What(何を)
  • Why(なぜ)
  • How(どのように)

 

 たとえば、今回の課題であった「鄭和とその事績」を例に説明すると、

 

 次の文章には5W1Hの何かが欠けている。それは何か?

 

 中国の明の時代の武将だった鄭和は、1405~1433年にかけて、東南アジアからインド、アフリカ東岸への航海を7回行った。バスコ・ダ・ガマやコロンブスらの船よりも大きい400トン超の大型船で、六十数隻、乗組員2万8千人の大船隊を組んだとされる。鄭和が司令官の本隊はペルシャ湾に、別動隊はさらにケニア沿岸部のマリンディまで到達したとされ、ライオンやサイなどを本国に持ち帰ったという。

【出典】「鄭和船団『子孫』、ケニアから留学」(朝日新聞2005年8月23日朝刊)

  • When(いつ) ‥‥‥1405~1433年にかけて
  • Where(どこで)‥‥東南アジアからインド、アフリカ東岸
  • Who(誰が)‥‥‥‥中国の明の時代の武将だった鄭和
  • What(何を)  ‥‥‥航海を7回行った
  • Why(なぜ)‥‥‥‥?
  • How(どのように)‥400トン超の大型船で、六十数隻、乗組員2万8千人の大船隊を組んで

 

 ゼミや学会などで上記のような報告を行ったら、必ずこう質問されるでしょう。「なぜ鄭和は大航海を行ったのですか?」と。これにはいくつかの説がありますので、整理して報告する必要があります。

 

「鄭和の西洋下り」は中国史上最大の航海事業であったばかりでなく、世界史上にも例のないものであった。その主たる目的は政府直営の海外貿易の促進にあり、中国国内はもちろん、相手国の社会や経済にも大きな影響を及ぼした。
 また、随行者の著作である『瀛涯勝覧(えいがいしょうらん)』『星槎(せいさ)勝覧』などにより、中国人の東南アジア方面に関する知識が深まり、華僑(かきょう)の進出の端緒となったことも見逃せない。

【出典】寺田隆信「鄭和」(大日本百科全書)

 Zheng He was the best known of the Yongle emperor’s diplomatic agents. Although some historians see no achievement in the naval expeditions other than flattering the emperor’s vanity, those missions did have the effect of extending China’s political sway over maritime Asia for half a century. Admittedly, they did not, like similar voyages of European merchant-adventurers, lead to the establishment of trading empires. Yet, in their wake, Chinese emigration increased, resulting in Chinese colonization in Southeast Asia and the accompanying tributary trade, which lasted until the 19th century.

【出典】Zheng He, The Britannica Academic 

 

 

2.書誌情報の書き方

 

 報告の際、情報源となった書誌情報を正しく書くことも大切です。

 

①書籍の場合

 

 著者名『書名』(出版社名、発行年)

 

(例)宮崎正勝著『鄭和の南海大遠征 : 永楽帝の世界秩序再編』(中央公論社、1997年)

 

②論文の場合

 

 著者名「タイトル」(掲載誌名 号数、発行年月)

 

(例)日野秀逸「病気と社会―イギリスにおけるペスト」(東京都立大学人文学報第6号、1990年3月)

 

③新聞の場合

 

 「見出し」(掲載紙名、発行年月日、朝夕刊)

 

(例)「鄭和船団『子孫』、ケニアから留学 600年前の明代に大航海 中国政府が調査、招待」(朝日新聞、2005年08月23日、朝刊)

 

④Webサイトの場合

 

 「タイトル」(URL, 閲覧年月日)

 

(例)「鄭和の南海遠征に関する考察」(http://www.hi.ehime-u.ac.jp/sgh/project/?p=63 2020年4月28日閲覧)

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