第6回 漢代~漢民族の形成と紙の誕生
秦が天下統一からわずか十四年で滅んだ後、中国をふたたび統一したのは漢でした。 儒教思想をもとに新たなナショナル・アイデンティティーを築いた漢の名は、やがて中華民族の代名詞となっていきます。 漢代には、中国の文化史上、画期的な事件が起こります。紙の誕生です。紙という安価な書写材料の誕生により、それまで歴史の闇に消えていた多くの文学作品が記録され、後世に伝えられました。後漢末の実話を描いた長編叙事詩「焦仲卿の妻」もそうした作品の一つです。