第10回 五代十国時代 書籍出版の始まり
唐末から五代十国時代にかけて、中国は武人支配の時代を迎えます。
武人の台頭により門閥貴族が没落すると、これに代わって新たな政治の担い手となったのが、科挙出身の文人官僚たちでした。
彼らは科挙を通じて身分や家柄に関係ない平等な社会を築くため、唐末に民間で発達した印刷技術を使って知識の普及に努めました。書籍出版のはじまりです。
身分制度なき柔構造の封建社会と呼ばれる新たな時代の到来とともに、文学の世界では格式ばった詩に代わり、庶民の間に生まれた詞が人々の心をとらえるようになります。